遺産相続 トラブルなく進める手続き10のポイント

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遺産相続は、故人が遺してくれた大切な遺産を引き継ぐことです。
遺産相続をトラブルなく進められるかお悩みではないですか? 
まずは、スムーズな遺産相続に向け、全体の見通しを立てることが大切です。
このため、調査、手続きなど10のポイントを解説します。

故人が亡くなったあとの手続き


故人が亡くなったあとは、故人を偲び、ご自分の生活を取り戻すことが大切だと考えます。
しかし、現実には行政機関に対する死亡届等や金融機関や契約関係の手続きが多数あります。
故人の社会、経済的な活動を整理していくための重要な手続きばかりです。
なお、詳しくは関連投稿「相続の手続き」を是非ご覧ください。

死亡診断書

死亡確認後、病院に死亡診断書又は死亡検案書を発行してもらい、ご遺体を病院から自宅又は葬儀社が決まっている場合は葬儀社の遺体安置所へ搬送します。
どこの葬儀社にするかを事前に決めておいた方がいいかもしれません。

死亡届

死亡確認後7日以内に、死亡届の提出を行います。
届出先は、故人の死亡地か本籍地、又は届出人の所在地の市区町村役場です。
なお、故人の所在地の役場でないので注意してください。

火葬許可

死亡届と同時に火葬許可申請書を提出し、火葬許可証を交付してもらいます。
そして、火葬が終わると埋葬許可証が交付されます。

預貯金など

銀行や保険会社への連絡のほか、10日以内に年金停止手続き、14日以内に世帯主変更手続きなども必要に応じて行います。
銀行口座は死亡と同時に凍結するわけではなく、親族から銀行に死亡連絡をした時点から凍結します。
相続人の間で財産の分配が決まるまでは共同財産となります。

遺産相続の第1歩は遺言書探し

遺産相続における遺言書

故人が遺言をのこしている場合、原則、遺言書に基づき遺産を分割します。
法務省の調査によると、75歳以上で遺言書を作成するのは約11%とされています。

遺言書があとで見つかると、せっかく協議して決めたことも振り出しに戻ります。
遺産相続に取り組むことになりましたら、まずは遺言書を探すことをおすすめします。

遺産相続に関する自筆証書遺言書を探す

自筆証書遺言書を探す場合、最初は故人の自宅を探すことになるでしょう。
金庫、仏壇、引き出し、タンスなどが一般的です。
自宅に保管していなければ、銀行に預けている、弁護士等の専門家が保管している場合もあります。
それらしい預かり証などがないかを確認してみましょう。

自宅等で自筆証書遺言書が発見されたら、勝手に開封してはいけません。
家庭裁判所での検認手続きが必要になります。

また、自筆証書遺言書を法務局で保管してくれる制度があります。
故人がこの制度を利用していれば、保管所より「保管証」が交付されています。
その保管証が見つかれば、「遺言書情報証明書」の請求をすることで、遺言書の内容を知ることができます。
また、故人がこの制度を利用しているかどうか不明な場合は、「遺言書保管事実証明書」の交付請求を行います。
それにより、遺言書が法務局に保管されているかどうかの事実だけを知ることができます。

遺産相続に関する公正証書遺言書を探す

公正証書遺言書は、公証役場で作成しています。
遺言者が遺言に記したい内容を公証人に相談しながら決め、それを公証人が作成します。
遺言書の原本は公証役場に保管されますので、紛失や改ざんの心配もありません。

公正証書遺言書を探すには、検索システムを利用することができます。
全国どこの公証役場からでも遺言書があるかどうかを調べることができます。

遺産相続の期限を確認する

遺産相続には期限がなく、多くの場合は時間がかかってしまっても問題はありません。
しかし、時間が経過し、遺産の価値、相続人の状況などが変化すると複雑化してしまいます。
場合によっては、手が付けられなくなってしまいます。
このため、無理のない範囲で着実に進めていくことが望ましいと考えます。

なお、以下の場合は期限がありますので要注意です。

相続放棄する場合

相続開始を知ったときから3カ月以内に家庭裁判所に申述

相続税が課税される場合

被相続人の死亡を知った日の翌日から10か月以内に税務署に申告

不動産を相続する場合

取得を知った日から3年以内に相続登記等の申請
(令和6年4月1日から相続登記が義務化されます)

相続する遺産を調べる

故人の財産を一つ一つ調べる必要があります。
例えば、銀行の預貯金、貴金属や美術品などの動産、株などの有価証券があります。
また、家や土地などの不動産も考えられます。ゴルフ会員権などは見落としがちです。

プラスの財産だけではなく、マイナスの財産、いわゆる負債がある場合もあります。
家や車のローン、消費者金融などの債務、保証債務などがあります。

これらの財産を漏れなく調査し、目録を作成する必要があります。

なお、詳しくは関連投稿「財産調査」を是非ご覧ください。

預貯金

財産調査では、まず金融機関の預貯金を調査します。こちらは金融機関の窓口で「残高証明書」を発行してもらいます。
複数の金融機関で預貯金をお持ちの場合はそれぞれの窓口で申請する必要があるため、窓口の営業時間内にすべて出向かなければなりません。

必要な書類としましては、当該金融機関の通帳やキャッシュカード、そして上記で取り寄せた口座名義人が亡くなったことがわかる書類と請求者が相続人であることが確認できる書類、及び請求者の実印及び印鑑証明書などを持っていきます。

不動産

不動産がある場合には、登記識別情報や固定資産額の課税明細書などを探します。
見つからない場合には市町村役場で調べてもらうことも可能です。
不動産所在地の市町村役場窓口で名寄帳(なよせちょう)を取得すると、故人が所有している固定資産課税の不動産の一覧がわかります。
そのときに固定資産評価証明書を一緒に取得しておくとよいでしょう。

課税対象の不動産だけでなく、固定資産税のかからない土地を所有している場合もあります。
例えば、農地などは固定資産税課税価格が低いため、免税点未満となっている場合などです。
この場合も名寄帳を取得すれば確認できます。

その他の財産調査

その他株式などの有価証券証書や保険、自家用車なども相続財産の対象です。
借金やローン、未納の税金など、マイナスの財産も漏れのないように。
遺産相続における財産調査が完了したら、財産目録を作ります。

遺産相続の対象者を調べる

財産分割をするためには、相続人を確定する必要があります。
法定の相続人は、主に配偶者と子です。相続人を確定するためには、故人の戸籍謄本などを揃え確認する必要があります。
予想外の人が相続人になっていたり、また逆のこともあるかも知れません。

なお、詳しくは関連投稿「相続の対象者、割合は? 法定相続人と相続分」「遺産相続の対象者(相続人)の確認」を是非ご覧ください。

遺産相続の対象者と割合

法定相続人と相続分は、次のとおり定められています。

  • 配偶者と子供がいる場合
    配偶者が2分の1、子供が2分の1
  • 子供がおらず配偶者と故人の親がいる場合
    配偶者が3分の2、親が3分の1
  • 子供も親もおらず、配偶者と故人の兄弟姉妹がいる場合
    偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1
  • 配偶者も子供も既に死亡している場合
    故人の孫
  • 配偶者も子供も親もおらず、兄弟姉妹も死亡している場合
    故人の甥や姪

一方で、法定相続人が一人もおらず天涯孤独の方もいます。
この場合は、特別縁故者が家庭裁判所に財産分与の申し立てをすることも可能です。

結果として、特別縁故者もおらず、誰も相続をうける人がいない場合は、相続財産は国庫に帰属することになります。

遺産相続の対象者の確認

法定相続人を確認するためには、まず故人の配偶者や子など関係者の身分を正確に把握する必要があります。
次に、相関図を作成し、法の規定をあてはめながら法定相続人を確定させていきます。
思いもかけない人が戸籍に記載されていることがありますので、早い段階で調査してください。

遺産相続の対象者の中に、連絡が取れない人、亡くなった人などがいると複雑になってきます。

故人の戸籍謄本等の取得

まず、故人が出生したときから亡くなるまでの戸籍謄本と住民票の除票を取得します。
これは、故人の本籍地の市町村役場に請求することで入手できます。

ちなみに、戸籍謄本は、戸籍に記載される全員の身分事項を証明したものです。
戸籍抄本は、戸籍に記載されている事項の一部を証明したものです。
間違えないようにしてください。

被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本及び除籍謄本及び被相続人の住民票の除票、
そして相続人全員の戸籍謄本などを揃える必要があります。
一つでも欠けていたら手続きが進まなくなります。
すべてを揃え、窓口で提出し、返却してもらい、そしてまた次の窓口でも繰り返す。
手間と時間がかかります。
そこで利用できるのが法定相続情報証明制度です。

法務局へ一度「戸籍の束」と、「法定相続情報一覧図」作成しを提出すれば、
認証文付きの法定相続情報一覧図の写しを交付してもらえます。
この写しは必要なだけ何枚でも交付してもらえますので、
それぞれ必要な窓口でそれを提出することで手続きを行うことができます。

遺言書による対象者

法定相続人以外に財産を遺したい、こんな時は遺言書が有効です。

遺産相続の方法を決める

遺産の分割は、以下の3つの方法のいずれかに基づき決定します。
まず、遺言があるかどうかを確認することが必要です。

詳しくは、関連投稿「遺産相続の対象者は、割合は」「遺産分割協議」を是非ご覧ください。

故人の遺言

 故人が遺言をのこしている場合、原則、遺言書に基づき分割します。
 法務省の調査によると、75歳以上で遺言書を作成するのは約11%とされています。
 つまり、多くは次の法定相続割合、遺産分割協議により分割されています。

法定の相続割合

 民法で定められた法定相続人、相続割合に基づき分割します。公平に分割することができます。
 現金などの分割しやすい遺産のみの場合に、この方法で分割されます。
 ただし、その後のトラブルを避けたり銀行等の手続きを円滑にするため、遺産分割協議書は作成することをお勧めします。

遺産分割協議(相続人全員による協議)で決定する方法

 現金だけなら法定の割合で分割することは簡単です。
 しかし、住んでいる家があったり、土地や株があったりすると、公平に分けることができない場合があります。
 また、家に配偶者が住んでいるなど個別の事情を斟酌する必要も出てきます。
 このような場合、相続人全員で遺産分割協議を行い決めた方法で分割することができます。
 協議結果は、遺産分割協議書として作成します。 

遺産分割協議

相続人が確定し、財産目録が完成したら相続人全員で遺産分割について協議をします。
具体的には、どの財産を誰がどれだけ相続するかを話し合います。
遺産分割協議で決定すれば、法定の相続割合どおりの割合でなくても構いません。
同居していたとか、介護していたなど、相続人の置かれている状況等に応じて柔軟に分割することが可能となります。

遺産分割協議の実施方法

遺産分割協の決定には、相続人全員の合意が必要です。
相続人の過半数などで決定するのではありません。
一人でも反対するような遺産分割の方法では合意に至ることはできません。

また、注意しなけらばならないのは、相続人全員の参加が必要であることです。
誰かを意図的に外すことはできません。連絡がとれない相続がいると合意が困難になります。
あとで隠し子が判明したりすると、協議は無効になり、振り出しに戻ってしまいます。
このため、相続人の確認は重要です。

相続人が未成年者である場合も注意が必要です。
未成年(18歳未満)は、民法上では制限行為能力者とされ、保護者などの法定代理人の同意なく契約を締結すること等ができません。
このため、協議には、未成年者にかわり、保護者が法定代理人として出席します。

保護者が相続人の場合は、家庭裁判所に申し立てをして選任した特別代理人が出席します。

なお、遺産分割協議は、必ずしも対面で行う必要はなく、書面で開催することもできます。

遺産分割協議書の作成

協議で合意した結果は、遺産分割協議書に記します。
遺産分割協議書の作成は法律で義務付けされているわけではありません。
しかし、たいした財産でなかったり、仲の良い兄弟姉妹であっても、作成して残しておくことをお勧めします。
口約束ではなく書類で残しておくことで、後々トラブルになるのを避けることができます。

遺産分割協議書は相続人の人数分作成し、それぞれが原本を保有します。

遺産分割協議書の記載事項

書式に定めはありませんが、記載しなけらばならない事項は以下のとおりです。

  • 被相続人の表示
    誰の財産に対する合意なのかを明らかにする必要があります。
    このため、被相続人(故人)のお名前、住所、本籍地、死亡年月日を記載します。
  • 相続人の表示
    相続人の氏名、住所を記載し、遺産分割内容に合意していることを明らかにします。
    全員が署名し実印を押印し、印鑑証明書を添付します。
    署名や実印は法律等で決まっているわけではありませんが、トラブルを防止し、財産の名義の変更等の手続きもしやすくなります。
  • 相続財産の表示
    各相続人がどの財産を相続するのか具体的に記載します。
    預金の場合は銀行名・支店・口座番号で特定します。土地や建物の場合は、不動産登記の内容を具体的に正確に記載します。
    あとで相続財産が見つかった場合の分割の決定方法も決めておくと良いでしょう。

相続人が認知症の場合の遺産相続

認知症の方が相続人に含まれる場合、遺産相続は複雑になります。
遺産分割協議は相続人全員が参加をし、全員の合意が必要です。
しかし、認知症患者の方は正常な判断ができないため、その合意は無効になります。
もちろん、認知症である相続人を除いて行う遺産分割協議も無効です。

認知症である相続人の法的に有効な合意を得る方法として、成年後見制度があります。
成年後見制度には任意後見制度と法定後見制度があります。


任意後見制度は本人にまだ判断能力があるうちに自ら後見人を選び委任します。
法定後見制度は本人に判断能力がなくなってから家庭裁判所が後見人を選任する制度です。
後見人が相続人の代わりに遺産分割協議に参加し、合意をすることで遺産の分割を行うことができます。
後見人は本人の財産を管理し、契約などを代わりに行います。

不動産の相続

 土地や建物は金額が大きく分割ができないため話が難しくなります。
 例えば、法定の割合が500万円の場合で、1000万円の土地を相続しようとす場合を考えます。
 他の相続人に500万円分の代償金を支払わなければ納得してもらえないかも知れません。
 管理費や固定資産税などの負担も生じ、相続人に負担感が大きい可能性があります。
 このため、価値の低い土地などが放置され、所有者不明のまま有効に活用できなくなる問題もあります。
 このため、令和6年4月1日から相続登記が義務化されることとなりました。

 詳しくは、関連投稿「相続登記が義務化されます」「配偶者居住権」を是非ご覧ください。

相続放棄

遺産の中に多額の借金がある場合、プラスの遺産とあわせて放棄する相続放棄の権利が認められています。
ただし、デメリットもよく考え選択する必要があります。

3か月以内に相続の形態を相続人それぞれが決める必要があります。

相続の形態には、

  • プラスもマイナスもすべて相続する「単純承認」
  • 欲しい財産がある場合にはその範囲内でマイナスの財産も相続する「限定承認」
  • プラスもマイナスもすべて放棄する「相続放棄

があります。

3か月以内に申告しない場合は、自動的に単純承認となります。

詳しくは、関連投稿「相続放棄について解説します」をご覧ください。

相続税

相続財産がどれだけあるのかがわかったら、10か月以内に相続税の申告と納付をしなければなりません。
ただし、一般家庭において相続税の申告が必要なケースはほとんどありません。
基礎控除額【3000万円+(600万円×法定相続人の数)】までの財産なら非課税になります。
つまり、それほど心配はいらないでしょう。
実際、財務省の統計では、相続税の課税を受ける人の割合は死亡者数の8%程度とされています。


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